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こんにちは、柏の葉キャンパス矯正歯科の院長の小松です。
「普通のワイヤーと白いワイヤーでは、歯の動きは違いますか?」
目立たない装置を希望される方から、よくいただく質問です。見た目は良くなっても、そのぶん治療が長引くのでは困る。当然の心配だと思います。
結論からお伝えします。
臨床研究の範囲では、ワイヤーの色(被覆の有無)によって歯の動く速さに意味のある差は認められていません。
ただし、材料としての性質には確かに違いがあります。その違いが、なぜ治療期間に表れないのか。ここを順番にご説明します。
そして記事の後半では、当院が審美ワイヤー矯正に「ロジウムコートワイヤー+フルセラミックブラケット」を選んでいる理由をご説明します。白さだけで選ぶと、見落とすことがあるためです。
まず、白いワイヤーには2種類あります
ひと口に「白いワイヤー」「審美ワイヤー」といっても、作り方が違う2つのタイプがあります。ここを分けて考えないと、話がかみ合いません。
① 樹脂コーティングのワイヤー(いわゆるホワイトワイヤー)
金属のワイヤーの表面に、白い樹脂(エポキシやテフロンなど)を塗ったものです。見た目の白さは、こちらのほうがはっきりしています。

② ロジウムコートのワイヤー
金属のワイヤーに、ロジウムという金属をごく薄くメッキしたものです。白というよりは、つや消しの銀色(マットシルバー)に近い色味です。光の反射が抑えられるため、金属のギラつきが目立ちにくくなります。
当院の審美ワイヤー矯正で使用しているのは、こちらのロジウムコートワイヤーです。理由は記事の後半でご説明します。

研究では、歯の動く速さに差は出ていない
4種類の審美ワイヤーを比べた試験
被覆されたニッケルチタンワイヤー(上記の①)について4つの会社の、4種類の材料を比較したランダム化比較試験があります。8週間の治療後、歯並びの乱れの改善量を測ったところ、統計学的に意味のある差は認められませんでした(文献1)。
ワイヤーの種類そのものを比べた試験
治療の初期段階で使うニッケルチタンワイヤー(超弾性タイプ、熱で形が戻るタイプ、従来型)を比較した臨床試験でも、ワイヤーの種類は歯の動く速さに影響を与えていません(文献2)。
系統的レビューの結論
複数の研究をまとめて評価したコクランのシステマティックレビューでは、治療初期のワイヤー材料について、特定の材料が他より優れているという十分な証拠はないと結論づけられています(文献3)。
つまり、「白いワイヤーにすると治療が長引く」という説は、現在の研究では裏づけられていません。
ただし、材料としての違いは確かにある
ここからは、実験室での測定(口の中ではなく、装置単体での試験)の話です。ここには、はっきりした違いがあります。
樹脂コーティングのワイヤーで起きていること
| 起きること | 理由 |
|---|---|
| 発揮する力がやや弱くなる | 外側の太さの規格を守るため、中の金属の芯が細くなる(文献4、文献5) |
| 摩擦が増えることがある | 表面がざらつくため、ワイヤーの上を歯が滑りにくくなる(文献4、文献7) |
ロジウムコートのワイヤーで起きていること
メッキの層がきわめて薄いため、中の金属の芯の太さが損なわれません。そのため、力を解放するときの力は通常のワイヤーと同等に保たれます(文献5、文献6)。
言いかえると、ロジウムコートは「金属ワイヤーの性質をそのままに、見た目だけを変えた」ワイヤーです。芯が細くなることも、表面がざらつくこともありません。
当院が審美ワイヤー矯正にロジウムコートを選んでいるのは、この理由です。 見た目を改善しながら、力の出方を変えずに済むためです。
なぜ実験室の差が、治療期間に表れないのか
ここが大事なところです。
矯正では、歯を動かすのに適した力の範囲があります。強ければ速く動くわけではありません。強すぎる力は、かえって歯の根や周りの組織に負担をかけ、動きを妨げることもあります。歯を動かすのに適した力の大きさを検討した系統的レビューでも、力を強くすれば動きが速くなるという関係は示されていません(文献9)。
樹脂コーティングによって力がやや弱くなっても、その力が「適した範囲」の中に収まっていれば、歯の動き方は変わりません。 実験室で測れる差が、口の中での差にならないのは、このためです。
歯の動く速さを本当に決めているもの
では、何が治療期間を左右するのでしょうか。
① 個人の生物学的な反応
歯は、周りの骨が溶けて(吸収され)、新しくつくられることで動きます。この反応の速さには大きな個人差があります。研究でも、歯の動く速さはワイヤーの種類より、骨の密度や個人の反応に大きく左右されると報告されています(文献8)。
同じ装置、同じ力をかけても、人によって動き方は違います。
② 装置をつける位置の精度
ブラケット(歯につける装置)を、どの位置に、どの角度でつけるか。ここがずれていると、ワイヤーを入れても目的の方向に動きません。あとから修正する手間が増え、結果として治療が長くなります。
当院がブラケットの位置決めに手間をかけている理由は、当院がこだわるインダイレクト法(間接法)によるブラケットポジショニングについてでご説明しています。
③ 装置を使っている時間
マウスピース型矯正装置の場合、1日20〜22時間の装着が前提です。外している時間が長ければ、計画どおりには進みません。
ワイヤー矯正には、この問題がありません。装置が歯についたままなので、装着時間に左右されずに歯を動かせます。 「生活のなかで装着時間を確保できる自信がない」という方には、ワイヤー矯正のほうが向いていることがあります。
④ 治療の計画そのもの
抜歯をするか、奥歯を動かすか、アンカースクリューを使うか。どの道を通るかで、必要な距離が変わります。 ワイヤーの色より、はるかに大きな要素です。
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「目立たない装置にしたいが、治療が長引くのは避けたい」
このご相談は本当に多くいただきます。装置の見た目と治療期間は、トレードオフではありません。 どの装置が向いているかは、必要な歯の動きと生活の状況によって変わります。
当院では初回カウンセリングで、装置ごとの違いと、ご希望に合う選択肢をご説明しています。
▶ 初めての方へ(カウンセリングの流れ) ▶ WEB予約はこちら ▶ お電話:04-7192-7894
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当院の審美ワイヤー矯正:ロジウムコート+フルセラミックブラケット
当院の審美ワイヤー矯正では、ロジウムコートワイヤーとフルセラミックブラケットを組み合わせています。
3つの組み合わせの比較
| 通常の金属ワイヤー | ロジウムコート+フルセラミック | 樹脂コーティング(ホワイト) | |
|---|---|---|---|
| ワイヤーの見え方 | 銀色で光を反射する | つや消しで反射が少ない | 白くはっきり見える |
| 力の出方 | 設計どおり | 設計どおり(芯径が保たれる) | やや弱まる(芯が細くなる) |
| 表面 | なめらか | なめらか | ざらつきが出ることがある |
| 被覆の劣化 | なし | 金属メッキのため剥がれにくい | 剥離・着色が起こりうる |
なぜ白いワイヤーではなく、ロジウムコートなのか
白さだけを比べれば、樹脂コーティングのワイヤーのほうが上です。それでも当院がロジウムコートを選んでいるのは、次の3点からです。
① 力の出方が変わらない
樹脂コーティングは、外径の規格を保つために中の芯を細くしています。そのぶん発揮される力が弱まります(文献4、文献5)。ロジウムコートはメッキがごく薄いため、芯の太さがそのまま保たれます(文献5、文献6)。
② 摩擦が増えない
歯をワイヤーの上で滑らせて動かす場面(スライディング)では、表面のなめらかさがそのまま効いてきます。樹脂コーティングは表面がざらつくことがあり、摩擦が増えると報告されています(文献4、文献7)。
③ 被覆が剥がれない
樹脂のコーティングは、使っているうちに部分的に剥がれたり、着色したりすることがあります。剥がれると、かえって白と銀がまだらに見えます。 ロジウムは金属のメッキなので、この問題が起こりにくいです。
見え方はどう変わるか
ロジウムコートは、白ではなくつや消しの銀色です。「真っ白になる」わけではありません。
ただ、装置が目立つ一番の原因は、金属が光を反射してギラつくことです。ロジウムコートは反射が抑えられるため、写真や照明の下での目立ち方が変わります。
ここにフルセラミックのブラケットを組み合わせます。装置の面積としては、ワイヤーよりブラケットのほうが大きいため、ブラケットが歯の色になじむ効果のほうが、見た目への影響は大きいです。

どんな方に向いているか
- 人前に出る機会が多く、装置の見た目を抑えたい
- マウスピース型矯正装置の装着時間を確保できるか不安がある
- 裏側の装置は、発音や舌の違和感が気になる
- 見た目を抑えつつ、歯の動き方には影響を出したくない
裏側の装置との比較は、ハーフリンガル矯正とは?と舌側矯正治療とは?もご覧ください。
正直にお伝えしておくこと
- 歯の動く速さは、通常の金属ワイヤーと変わりません。 見た目のための選択肢です
- 真っ白にはなりません。 白さを最優先される場合は、樹脂コーティングのワイヤーのほうがご希望に近いです
- セラミックブラケットは金属より厚みが出るため、装着直後に違和感を覚える方がいます
「どれが優れているか」ではなく、何を優先するかの問題です。 白さを優先するのか、力学的な素直さを優先するのか。当院は後者を取ったうえで、ブラケットで見た目を解決する組み合わせを選んでいます。
当院の審美材料を使用したワイヤー矯正の費用
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| 精密検査料 | 49,500円 |
| 審美ワイヤー矯正 基本料金 | 935,000円(本体価格850,000円) |
| 再診料 | 5,500円 / 回 |
※矯正歯科治療は、公的健康保険適応外の自費(自由)診療です。
本治療におけるリスクと副作用
- 歯根吸収(歯の根が短くなることがあります)
- 歯肉退縮(歯ぐきが下がることがあります)
- 後戻り(保定装置を使用しない場合、歯が元の位置に戻ることがあります)
- 知覚過敏、歯髄充血
- 装置装着部の粘膜の傷、口内炎
- 治療中に虫歯・歯周病が生じることがあります
- ワイヤー表面の被覆が、使用中に摩耗・変色することがあります
- セラミックブラケットの破損・脱落が起こることがあります
- 治療計画の変更により、治療期間が延長することがあります
※治療効果やリスクには個人差があります。
当院の審美ワイヤー矯正で使用するブラケットおよびワイヤーは、医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けた医療機器です。
柏の葉キャンパス矯正歯科の考え
装置の見た目は、治療を続けるうえで大切な要素です。「人に気づかれたくない」という気持ちは、我慢すべきものではありません。見た目が気になって治療に踏み出せないのであれば、それを解決する方法を用意するのが私たちの役目だと考えています。
一方で、見た目のために治療の質を落とすことはしません。
今回のご案内で私がはっきりお伝えしたいのは、「白いワイヤーだから速い/遅い」という話ではない、ということです。研究が示しているのは差がないということであり、それは裏を返せば、見た目で選んでも治療結果は変わらないということでもあります。
歯の動く速さを決めているのは、ワイヤーの色ではなく、ご本人の体の反応、装置をつける位置の精度、そして治療計画です。ここに手を抜かなければ、装置の見た目はご希望で選んでいただいて構いません。
よくあるご質問
Q1. ホワイトワイヤーにすると治療期間は延びますか?
臨床研究では、ワイヤーの被覆の有無によって歯の動く速さに意味のある差は認められていません。治療期間は、必要な歯の動きや個人の反応によって決まります。
Q2. 白いワイヤーは着色しますか?
樹脂コーティングのワイヤーは、使用中に部分的に剥がれたりすることがあります。剥がれると白と銀がまだらに見えるため、かえって目立つことがあります。当院が使用しているロジウムコートは金属のメッキのため、この問題は起こりにくいです。
Q3. ロジウムコートとホワイトワイヤー、どちらがよいですか?
白さを最優先するなら樹脂コーティングのホワイトワイヤーです。当院はロジウムコートを使用しています。芯の太さが保たれるため力の出方が変わらず、表面もなめらかで摩擦が増えないためです。見た目については、面積の大きいブラケットをフルセラミックにすることで対応しています。
Q4. セラミックブラケットは壊れませんか?
金属に比べると破損する可能性はあります。硬いものを強く噛んだときなどに起こります。破損した場合は再装着します。
Q5. 装置が白いと、歯が白く見えますか?
装置の色で歯の色が変わることはありません。むしろ装置が目立たなくなることで、歯そのものに視線が向きやすくなります。
Q6. 途中でマウスピースから切り替えることはできますか?
できます。装着時間の確保が難しい場合や、計画どおりに動いていない場合に、ワイヤー矯正へ切り替えることがあります。切り替えの際の費用については、事前にご説明します。
Q7. 裏側の装置とどちらが目立ちませんか?
目立たなさだけで言えば裏側の装置です。ただし、発音や舌の違和感、費用の面で違いがあります。ハーフリンガル矯正とは?で比較しています。
まとめ
- ワイヤーの色(被覆の有無)によって、歯の動く速さに意味のある差は認められていません(文献1〜3)
- 樹脂コーティングのワイヤーは、芯が細くなるぶん力がやや弱まり、摩擦が増えることが実験で示されています(文献4、文献5、文献7)
- ロジウムコートはメッキが薄く、力の出方は通常のワイヤーと同等です(文献5、文献6)
- ただし、これらの差は歯を動かすのに適した力の範囲の中で吸収されるため、治療期間には表れません
- 治療期間を決めているのは、個人の反応・装置をつける位置の精度・装置を使う時間・治療計画です
- 当院の審美ワイヤー矯正は、ロジウムコートワイヤー+フルセラミックブラケットの組み合わせです。力の出方と表面のなめらかさを保ったまま、見た目を抑えられるためです(基本料金935,000円・税込)
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関連記事
参考文献
- Ulhaq A, et al. Alignment efficiency and esthetic performance of 4 coated nickel-titanium archwires in orthodontic patients over 8 weeks: A multicenter randomized clinical trial. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. 2017.(ランダム化比較試験)
- Abdelrahman R, et al. A clinical comparison of three aligning archwires in terms of alignment efficiency: A prospective clinical trial. The Angle Orthodontist. 2015.(ランダム化比較試験)
- Wang Y, et al. Initial arch wires used in orthodontic treatment with fixed appliances. The Cochrane Database of Systematic Reviews. 2018.(系統的レビュー)
- Muguruma T, et al. Characterization of the coatings covering esthetic orthodontic archwires and their influence on the bending and frictional properties. The Angle Orthodontist. 2017.(実験研究)
- Pinzan-Vercelino C, et al. Coated nickel titanium archwires and their uncoated counterparts: In-vitro contemporary comparison of unloading forces. International Orthodontics. 2020.(実験研究)
- Matias M, et al. Comparison of deflection forces of esthetic archwires combined with ceramic brackets. Journal of Applied Oral Science. 2018.(実験研究)
- Alshayea E. Evaluation and Comparison of Mechanical and Frictional Properties of Different Coated and Uncoated Orthodontic Wires: A Systematic Review. Journal of Clinical and Diagnostic Research. 2026.(系統的レビュー)
- Giannopoulou C, et al. Slow and fast orthodontic tooth movement: an experimental study on humans. European Journal of Orthodontics. 2016.(臨床研究)
- Ren Y, Maltha JC, Kuijpers-Jagtman AM. Optimum force magnitude for orthodontic tooth movement: a systematic literature review. The Angle Orthodontist. 2009.(系統的レビュー)




