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こんにちは、柏の葉キャンパス矯正歯科の院長の小松です。
開咬(かいこう)とは、奥歯で噛んでいるのに上下の前歯が咬み合わず、隙間が開いたままになる状態です。**英語ではオープンバイトと呼ばれます。
「前歯で麺類が噛み切れない」 「口を閉じても前歯の間に隙間が空いている」 「サ行・タ行の発音が息漏れする」
こうしたお悩みでご相談にみえる方は少なくありません。開咬は見た目に気づかれにくい一方で、噛む・話すという機能に直接影響する不正咬合です。
この記事では、開咬の原因と治療法を解説したうえで、開咬と口元の突出を同時に改善した20代女性の症例をご紹介します。
開咬(オープンバイト)とは
**奥歯を噛み合わせた状態で、上下の前歯の間に隙間が残る噛み合わせを開咬といいます。**前歯部開咬(ぜんしぶかいこう)とも呼ばれます。

通常、奥歯で噛むと上の前歯が下の前歯を2〜3mm程度覆います。開咬ではこの重なりがなく、前歯が「浮いた」状態になります。隙間の程度は1mm程度の軽度なものから、5mm以上開くものまでさまざまです。
開咬を放置するとどうなる?
前歯で食べ物を噛み切れない 麺類・サンドイッチ・葉物野菜など、前歯で噛み切る動作が必要な食品が食べにくくなります。無意識に奥歯や舌を使って代償する癖がつくこともあります。
奥歯への負担が集中する 本来なら全体で分散されるはずの噛む力が、接触している奥歯だけにかかります。長期的には奥歯の摩耗・破折・歯周組織へのダメージにつながることがあります。開咬で最も注意すべき点です。
発音がしづらい サ行・タ行など、前歯と舌が近づく音で息が漏れます。英語のth音などはさらに影響を受けます。
口が閉じにくく口呼吸になりやすい 前歯が閉じないため唇に力を入れないと口が閉じられず、口呼吸につながります。口腔乾燥から虫歯・歯周病のリスクが上がります。
顎関節への負担 噛み合わせのバランスの崩れが、顎関節に負担をかけることがあります。
開咬になる原因
開咬は後天的な習慣が関わることが多い不正咬合です。原因は大きく3つに分かれます。
舌癖(ぜつへき)
開咬の原因として最も多いものです。
- 舌突出癖:飲み込むときや安静時に、舌の先が上下の前歯の間に入り込む
- 低位舌:安静時の舌の位置が常に低い
舌の力は思いのほか強く、1日に約2,000回といわれる嚥下(飲み込み)のたびに前歯を押し続けると、前歯が上下に離れる方向へ移動していきます。開咬を治療しても舌癖が残っていると後戻りしやすいのは、この力が続くためです。
口呼吸・指しゃぶり・その他の習癖
口呼吸が習慣化すると、口が開いた状態が続き、口を閉じる力が弱くなるため、前歯を支える力のバランスが崩れます。アレルギー性鼻炎や扁桃肥大が背景にある場合は、耳鼻咽喉科との連携が必要になることもあります。
お子様の場合は指しゃぶりが4〜5歳以降も続く場合、指が前歯の間に入ることで直接的に開咬をつくります。爪を噛む癖、頬杖、うつ伏せ寝なども影響することがあります。
骨格的な要因
上下の顎の位置関係や、顎の成長方向そのものに原因がある場合です。
下顎が後下方に回転して成長するタイプ(ハイアングル)では、奥歯が伸びるのに対して前歯が届かず、開咬になりやすい傾向があります。

このタイプは習癖の改善だけでは対応が難しく、後述する奥歯を沈める(圧下する)アプローチが必要になります。多くの症例では、これらの要因が複数重なっています。舌癖だけ、骨格だけということはむしろ稀です。
開咬の治療法
開咬の治療は、「隙間をどうやって閉じるか」に集約されます。方法は大きく2つです。
① 奥歯を沈める(圧下)
開咬治療の中心となるアプローチです。前歯を伸ばして隙間を埋めようとすると、歯が長く見えて審美的に不利になり、後戻りもしやすくなります。そこで奥歯を骨の中へ沈める(圧下する)ことで、下顎が関節(下顎頭)中心に回転し、結果として前歯が咬み合うようになります。

上顎大臼歯の圧下による開咬治療
奥歯を沈める動きは、従来の矯正装置では非常に困難でした。奥歯を沈めようとすると、その反作用で他の歯が引っ張られてしまうためです。
これを可能にしたのがです。顎の骨に固定した小さなネジを支点にすることで、他の歯に影響を与えずに奥歯だけを沈められます。開咬治療はアンカースクリューの登場によって、外科手術を避けられる範囲が大きく広がった領域です。

上あごの真ん中(口蓋)にスクリューを植立し、大臼歯を圧下している状態
② 抜歯してスペースをつくる
口元の突出を同時に改善する必要がある場合や、歯列に強い凸凹がある場合は、抜歯を併用します。生まれたスペースを使って前歯を後退させることで、前歯のコントロールも行うことができます。これにより口元の突出とともに、開咬が改善しやすくなります。
③ MFT(口腔筋機能療法)
装置による治療と並行して、必ず取り組んでいただきたいのがこれです。
舌癖が原因で開咬になった方の場合、歯を動かして隙間を閉じても、同じ舌の使い方を続けていれば再び開いてきます。正しい舌の位置・飲み込み方・呼吸を身につけるトレーニングを行うことで、後戻りのリスクを下げられます。
④ 外科矯正治療
骨格的な不調和が非常に大きい場合は、顎の骨の位置を手術で修正する外科矯正治療が選択肢になります。ただし前述のとおり、アンカースクリューの活用により、以前なら手術が必要とされたケースでも矯正治療のみで対応できる範囲が広がっています。
【症例】開咬と口元の突出を2年2か月で改善(20代女性)
実際の治療例をご紹介します。
※本症例について 本症例は院長の外勤先で治療を開始し、その後当院へ転院され、当院にて治療を完了したケースです。患者さまおよび外勤先の病院の許可をいただいたうえで掲載しております。
主訴と診断
患者さまが気にされていたのは、前歯が噛み合わないこと(開咬)、口元が出ていること(口ゴボ)、横顔のEラインの3点でした。

診断は開咬を伴う骨格性上顎前突。上顎が前方に位置する骨格的な要素に加え、前歯が咬み合わない状態が重なっていました。開咬と口元の突出は、どちらも「前歯まわりの問題」として同時に現れることが少なくありません。
治療計画
上下左右の小臼歯4本を抜歯し、そのスペースを使って前歯を後退させる計画としました。
| 抜歯部位 | 歯 |
|---|---|
| 上顎 | 左右の第一小臼歯(14・24) |
| 下顎 | 左右の第二小臼歯(35・45) |
上顎は前から4番目、下顎は前から5番目という異なる歯の抜歯です。上顎は前歯を大きく後退させる必要があるため前寄りの歯を、下顎は前歯の後退量を抑えつつ奥歯を前方へ移動させたいため後ろ寄りの歯を選んでいます。上下で必要な移動量が違うため、抜く歯も変えるという考え方です。

アンカースクリューの活用
本症例では口蓋(上あごの内側)と頬側歯槽部(歯ぐきの外側)の2か所にアンカースクリューを設置しました。
| 設置部位 | 目的 |
|---|---|
| 口蓋 | 奥歯の圧下(沈める)→ 開咬の改善 |
| 頬側歯槽部 | 前歯の後退 → 口元の突出とEラインの改善 |

開咬には圧下、口ゴボには後退と、目的の違う2つの動きを同時に行う必要があったため、それぞれに適した位置へ固定源を設けています。アンカースクリューがなければ、この2つを両立させることは困難でした。
治療結果
動的治療期間は2年2か月。前歯が咬み合うようになり、口元の突出とEラインも改善しました。開咬・口ゴボ・Eラインという3つの主訴すべてに対応できたケースです。

治療概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢・性別 | 20代女性 |
| お住まい | つくば市 |
| 主訴 | 開咬、口ゴボ、Eライン |
| 診断名 | 開咬を伴う骨格性上顎前突 |
| 動的治療期間 | 2年2か月 |
| 抜歯部位 | 上顎左右第一小臼歯、下顎左右第二小臼歯 |
| 使用装置 | マルチブラケット装置(表側ワイヤー矯正)+歯科矯正用アンカースクリュー |
治療費用(当院の場合)
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| 精密検査料 | 49,500円 |
| 基本料金 | 880,000円 |
| 再診料 | 5,500円 × 26回 |
| 基本料金と再診料の合計 | 1,023,000円 |
※矯正歯科治療は、公的健康保険適応外の自費(自由)診療です。
本治療におけるリスクと副作用
- 歯根吸収
- 歯肉退縮
- 歯髄充血
- 知覚過敏
※治療効果やリスクには個人差があります。
開咬は後戻りしやすい。だからこそ保定が重要です
開咬は、矯正治療のなかでも後戻りが起こりやすい不正咬合です。
理由は明確で、開咬をつくった力(舌癖・口呼吸)が治療後も残っていることが多いからです。歯を動かして隙間を閉じても、毎日数千回の嚥下で舌が前歯を押し続ければ、時間をかけて再び開いてきます。
そのため開咬の治療では、次の2つを並行して行います。
① リテーナー(保定装置)の確実な使用 装置を外した後の保定期間は、歯の位置を安定させるために欠かせません。詳しくはで解説しています。
② 舌癖の改善(MFT) 装置を外して終わりではなく、原因そのものを取り除く取り組みです。開咬の治療において、これは装置による治療と同じくらい重要だと考えています。
柏の葉キャンパス矯正歯科の考え
開咬の治療で私が大切にしているのは、「なぜ開咬になったのか」を特定してから治療計画を立てることです。
開咬は結果であって、原因ではありません。舌癖が主因なのか、骨格の成長方向が主因なのか、あるいは両方なのか。ここを見誤ると、装置で一時的に閉じても再び開いてくることになります。精密検査ではセファログラム分析で骨格のタイプを確認し、あわせて舌の位置や飲み込み方も評価します。
もうひとつは、開咬と口元の突出を同時に抱えている方が多いという点です。今回の症例のように、「前歯が噛み合わない」「口元が出ている」「横顔が気になる」は、しばしば同じ患者さまの中で同時に起こります。
このとき必要なのは、奥歯を沈める動きと前歯を後退させる動きの両立です。目的の異なる2つの力を同時にかけるため、固定源をどこに置くかが治療結果を左右します。今回、口蓋と頬側の2か所にアンカースクリューを設置したのは、この2つの動きをそれぞれ確実に実現するためでした。
なお本症例は、外勤先で治療を開始し、途中で当院へ転院されたケースです。矯正治療は数年にわたるため、転居や生活の変化で通院が難しくなることがあります。当院では他院で治療中の方の引き継ぎにも対応していますので、お困りの際はご相談ください。
よくあるご質問
Q1. 開咬(オープンバイト)とはどのような状態ですか?
奥歯を噛み合わせているのに、上下の前歯が咬み合わず隙間が開いたままになる状態です。通常は上の前歯が下の前歯を2〜3mm覆いますが、開咬ではこの重なりがありません。前歯で食べ物を噛み切りにくい、サ行・タ行の発音がしづらいといった症状が出ます。
Q2. 開咬は自然に治りますか?
大人の開咬が自然に治ることはありません。お子さまの場合、指しゃぶりなど原因となる習癖をやめることで改善するケースはありますが、舌癖が続いていたり骨格的な要因がある場合は自然な改善は期待しにくく、進行することもあります。
Q3. 開咬はマウスピース矯正で治せますか?
軽度の開咬では対応できる場合があります。マウスピース型矯正装置は奥歯を沈める動きが比較的得意なためです。ただし、抜歯を伴う大きな移動が必要な場合や骨格的な要素が強い場合は、ワイヤー矯正とアンカースクリューの併用が適しています。
Q4. 開咬の治療でアンカースクリューは必ず使いますか?
すべての症例で必要なわけではありません。ただし奥歯を沈める(圧下する)動きにはアンカースクリューが極めて有効で、開咬治療では使用する頻度が高い装置です。従来は外科手術が必要とされたケースでも、アンカースクリューによって矯正治療のみで対応できる範囲が広がっています。
Q5. 開咬の治療期間はどのくらいですか?
症例により異なりますが、抜歯を伴う全体矯正でおおむね2〜3年程度です。今回ご紹介した症例では2年2か月でした。その後、歯の位置を安定させる保定期間が続きます。
Q6. 開咬は治療後に後戻りしやすいと聞きましたが本当ですか?
はい、開咬は後戻りが起こりやすい不正咬合です。開咬をつくった舌癖や口呼吸が治療後も残っていると、再び前歯が開いてくることがあります。そのため装置による治療と並行してMFT(口腔筋機能療法)で舌の使い方を改善し、治療後はリテーナーを確実に使用することが重要です。
Q7. 舌の癖は大人になってからでも直せますか?
直せます。無意識の癖なので時間はかかりますが、正しい舌の位置と飲み込み方をトレーニングで身につけることは大人でも可能です。当院では矯正治療と並行してMFTを行い、後戻りのリスクを下げる取り組みをしています。
Q8. 他院で治療中ですが、転院して続きをお願いできますか?
はい、対応しています。今回ご紹介した症例も、外勤先で開始し当院で完了したケースです。転居や生活環境の変化で通院が難しくなった方の引き継ぎも承っていますので、まずはご相談ください。治療の進行状況を確認したうえで、今後の計画をご説明します。
Q9. つくば市や守谷市からも通えますか?
はい。当院はつくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」から徒歩圏内にあり、つくば市・守谷市・流山市・我孫子市・野田市など沿線エリアから通われている患者さまも多くいらっしゃいます。
まとめ
- 開咬とは、奥歯で噛んでも上下の前歯が咬み合わず隙間が残る状態。前歯で噛み切れない、発音しづらいといった機能面の影響があります
- 原因は舌癖・口呼吸などの習癖と、骨格的な要因。多くは複数が重なっています
- 治療の中心は「奥歯を沈める(圧下)」アプローチ。アンカースクリューの活用により、外科手術を避けられる範囲が広がっています
- 開咬と口元の突出は同時に起こりやすく、抜歯とアンカースクリューを組み合わせることで両方に対応できます
- 開咬は後戻りしやすいため、MFTによる舌癖の改善とリテーナーの確実な使用が欠かせません
開咬は見た目に気づかれにくい一方で、噛む・話すという毎日の機能に影響します。「前歯で麺類が噛み切れない」「口を閉じても前歯が開いている」と感じている方は、一度ご相談ください。
柏の葉キャンパス矯正歯科では、カウンセリングを受け付けています。開咬の原因の見極め、治療方法のご説明、他院からの転院のご相談など、どんなことでもお気軽にお尋ねください。柏市・流山市・我孫子市・つくば市・守谷市・野田市など近隣エリアからのご来院をお待ちしております。




