マウスピース型矯正装置の「基本」と「実際」について 〜治療の流れから保定まで徹底解説〜|柏の葉キャンパス矯正歯科|柏市の矯正歯科|日本矯正歯科学会認定医

〒277-0871 千葉県柏市若柴227番地6柏の葉キャンパス147街区 パークシティ柏の葉キャンパス二番街 コモンA
04-7192-7894
ヘッダー画像

マウスピース型矯正装置の「基本」と「実際」について 〜治療の流れから保定まで徹底解説〜

マウスピース型矯正装置の「基本」と「実際」について 〜治療の流れから保定まで徹底解説〜|柏の葉キャンパス矯正歯科|柏市の矯正歯科|日本矯正歯科学会認定医

目次

はじめに:学び続けることの大切さ

こんにちは。柏の葉キャンパス矯正歯科、院長の小松昌平です。

先日、診療の合間を縫って、ある「マウスピース型矯正装置」のベーシックコース(基礎研修会)に参加し、改めて基礎から学んでまいりました。
   

実は私、ありがたいご縁がありまして、過去にマウスピース型矯正装置に関する書籍の執筆や、歯科医師向けの解説に関わらせていただいた経験がございます。 そういった経緯をご存知の方からすると、「なぜ今、基礎コースへ?」と不思議に思われるかもしれません。

しかし、私自身は「教える立場」や「発信する立場」にある時ほど、誰よりも基本を大切にすべきだと考えています。 特に、デジタル技術を駆使するマウスピース型矯正装置の世界は、技術の進歩が非常に速い分野です。数年前の知識だけで満足していては、最良の医療を提供することはできません。

「知っているつもり」になっていないか。 大切な基本がおろそかになっていないか。

そんな自戒の念も込め、今回は学生に戻ったような新鮮な気持ちで講義を受けてきました。 そこで得た気づきや再確認した基本事項を、今回は患者様の目線に立って、できるだけ分かりやすくお話しさせていただきたいと思います。 長文になりますが、これから治療を検討されている方にとっては、必ずお役に立てる内容になっているかと思います。ぜひ最後までお付き合いください。

院長の小松が執筆に携わった書籍はこちら


そもそも、マウスピース型矯正装置とはどんなもの?

透明なフィルムが歯を動かす仕組み

マウスピース型矯正装置とは、患者様の歯型に合わせて作られた、薄い透明なプラスチック製の装置(アライナー)のことです。 これを1週間から10日ごとに新しいものに交換していくことで、少しずつ歯を動かしていきます。

「こんな薄いプラスチックで、硬い歯が本当に動くの?」 と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。 実は、新しいマウスピース型矯正装置は、今の歯並びよりも「ほんの少し(0.25mm程度)」だけ理想の位置にズレて作られています。装着すると少し窮屈な感じがするのはそのためです。 このマウスピース型矯正装置が元の形に戻ろうとする弾性を利用して、優しく、かつ持続的に歯に力をかけ、移動を促していくのです。

デジタル技術の恩恵

この装置の最大の特徴は、3Dデジタル技術が活用されている点です。 お口の中を専用のカメラ(口腔内スキャナー)で撮影し、そのデータを元にコンピュータ上で「治療開始から終了まで」の歯の動きをシミュレーションします。 従来の粘土のような不快な型取りが不要になったことや、治療のゴールを視覚的にイメージしやすい点は、患者様にとって大きなメリットだと感じています。

多くの患者様に選ばれている理由

マウスピース型矯正装置が世界中で普及している背景には、やはり生活への負担が少ないという点があります。

  • 目立たない:透明なので、周囲に気づかれずに治療を進められます。

  • 取り外せる:お食事や歯磨きの際は外せるので、衛生的です。

  • 金属を使わない:金属アレルギーの心配がなく、口内炎などのトラブルも比較的少なめです。

しかし、こうしたメリットがある一方で、決して「魔法の装置」ではないということも、私たち歯科医師はしっかりお伝えしなければなりません。


ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置、何が違う?

診察室でよくいただくのが、「私にはどちらが合っていますか?」というご質問です。 当院は、矯正歯科治療を専門とする歯科医院として、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置のどちらも扱っております。その経験から申し上げますと、この二つは「どちらが優れているか」ではなく、「それぞれ得意なこと・苦手なことがある」とご理解いただくのが一番近いかと思います。

歯の動かし方の違い

【ワイヤー矯正】 歯にブラケットという装置を付け、ワイヤーを通します。ワイヤーが元に戻ろうとする力を利用するので、歯の根っこからしっかり平行移動させたり、大きくねじれた歯を治したりするのが得意です。24時間装置がついているため、複雑な動きもコントロールしやすいのが特徴です。

【マウスピース型矯正装置】 歯全体を覆って押す力で動かします。歯を外側に広げたり、傾きを直したりするのは得意ですが、歯の根っこを大きく移動させる動きや、背の低い歯を引っ張り出す動きは、構造上少し苦手とする傾向があります。 そのため、歯の表面に「アタッチメント」という小さな突起をつけて、力をかかりやすくする工夫をすることが一般的です。

治療の進み方の違い

  • ワイヤー矯正:装置はご自身で外せません。そのため、定期的な通院で私たちが調整を行えば、治療は計画通りに進みやすいです。

  • マウスピース型矯正装置:ご自身で取り外しが可能です。これはメリットでもありますが、逆に言えば「外している時間は歯が動かない」ということでもあります。患者様の協力度が、治療結果に大きく影響します。

対応できる範囲について

以前は「マウスピースは軽度な症例向け」と言われていましたが、技術の進歩により、現在では抜歯が必要なケースなど、幅広い症例に対応できるようになってきました。 ただ、骨格的なズレが大きい場合など、どうしてもワイヤー矯正の方がきれいに、早く治るケースも存在します。 無理にマウスピースだけで治そうとせず、それぞれの利点を生かした方法をご提案するのが、私たちの役割だと考えています。


知っておいていただきたい、デメリットや注意点

良い面ばかりをお伝えするのは誠実ではないと思いますので、今回の研修でも再確認した「注意すべき点」についてもお話しします。

装着時間の管理が大切

マウスピース型矯正装置は、一般的に「1日20時間以上」の装着が推奨されています。 お食事と歯磨き以外の時間は、基本的にずっとつけているイメージです。 もし、「つい外し忘れて寝てしまった」「飲み会で長時間外していた」といったことが続くと、歯は計画通りに動かず、後戻りをしてしまうことがあります。 ご自身の生活スタイルや性格を振り返り、「こまめな管理は苦手かも…」と不安な場合は、固定式のワイヤー矯正の方が、結果的にストレスなく治療できることもあります。

装置が合わなくなる可能性(アンフィット)

コンピュータのシミュレーションはあくまで計算上の予測です。実際のお口の中では、予測通りに歯が動かないこともあります。 そうすると、マウスピース型矯正装置と歯の間に隙間ができ、装置が浮いてきてしまうことがあります。 多少のズレなら修正できますが、大きく浮いてしまった場合は、再度スキャンをして装置を作り直す必要があります。作り直しにはお時間がかかるため、治療期間が少し延びてしまう可能性があることは、あらかじめご了承いただきたいポイントです。

噛み合わせの調整

歯並びをきれいに並べることと、しっかり噛めるようにすることは、実は別の難しさがあります。 マウスピース型矯正装置は、上下の歯の間に常にプラスチックの層がある状態で過ごすため、治療中に奥歯の噛み合わせが少し甘くなることがあります。 治療の仕上げ段階で、噛み合わせを整えるためにゴムかけをお願いしたり、微調整を行ったりと、最後のひと踏ん張りが重要になることがあります。


なぜ「診断」が大切なのか 〜シミュレーションの向こう側〜

今回の研修でも特に重要だと感じたのが、「診断」の重みです。 3Dシミュレーションのアニメーションを見ると、歯がスムーズに動いていく様子にワクワクされるかと思います。しかし、それはあくまで「デジタル上の設計図」です。

人それぞれの「体」の違い

コンピュータソフトは優秀ですが、患者様一人ひとりの「骨の硬さ」や「歯の根の長さ」、「筋肉の動き」までは完全には把握できません。 もし、骨が薄い部分に無理やり歯を動かすような計画を立ててしまえば、歯茎が下がったり、歯の寿命を縮めてしまったりするリスクもゼロではありません。

矯正歯科治療を専門とする歯科医師としてできること

だからこそ、私たち歯科医師の出番があります。 レントゲンやCTで骨の状態や歯根の向きをしっかりと確認し、 「この動きは無理がないか?」 「骨の範囲内で安全に動かせるか?」 を慎重に見極めます。

AIやソフトが提案してくれた設計図を、医学的な知識と経験で「人間の体に合った安全な計画」に修正していく。 マウスピース型矯正装置は、メーカーに注文すれば自動的に良い治療ができるわけではなく、**「誰がどう設計するか」**によって、安全性や仕上がりが大きく変わる治療法なのです。 私も執筆活動などを通じて知識を深めるよう努めておりますが、それでも毎回、お一人おひとりの設計には悩み、慎重に検討を重ねています。


具体的な治療の流れ 〜相談から完了まで〜

「実際、どのようなスケジュールで進むの?」という疑問にお答えするため、当院での一般的な治療ステップをご紹介します。

ステップ1:初診相談(カウンセリング)

まずは、患者様のお悩みやご希望をじっくりお伺いします。 「ここが気になる」「いつまでに治したい」など、どんな些細なことでもお話しください。お口の中を拝見し、マウスピース型矯正装置が適応できそうか、概略をお話しします。

ステップ2:精密検査

治療方針を決めるための資料を集めます。 お顔やお口の中の写真、レントゲン撮影(セファログラム・パノラマ)、そして必要に応じてCT撮影を行います。また、口腔内スキャナーを使って歯型をデジタルデータとして採得します。

ステップ3:診断と治療計画の立案

ここが、私たち矯正歯科治療を専門とする歯科医師の腕の見せ所であり、最も時間をかける部分です。 検査結果を分析し、専用のソフトウェアを使って歯の動きをシミュレーションします。 「どの歯を、どの順番で、何ミリ動かすか」を、骨の状態を見ながら微調整し、安全かつ確実な計画を作り上げます。

ステップ4:治療計画のご説明(コンサルテーション)

作成した3Dシミュレーションを患者様と一緒に画面で見ながら、ご説明します。 最終的な歯並びのイメージだけでなく、治療期間の目安、費用、そしてリスクについても包み隠さずお話しします。ご納得いただけましたら、装置の発注を行います。

ステップ5:治療開始

マウスピース型矯正装置が届いたら、いよいよ治療スタートです。 最初の段階で、歯の表面に「アタッチメント」と呼ばれるプラスチックの突起をつけたり、必要に応じて歯の幅を少しだけ整える処置(IPR)を行ったりします。 装置の着脱練習や、お手入れ方法もしっかりレクチャーいたします。

ステップ6:定期的なチェック

通常、1ヶ月〜3ヶ月に一度ご来院いただき、進捗を確認します。 計画通りに動いているか、装置が浮いていないか、虫歯ができていないかなどをチェックします。 ご自宅では、指定された期間(1週間〜10日)ごとに、ご自身で新しいマウスピース型矯正装置に交換していただきます。


治療後の「保定」について 〜終わった後が本当のスタート?〜

矯正治療において、実は「歯を動かしている期間」と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、装置を外した後の「保定期間(ほていきかん)」です。 ここを軽視してしまうと、せっかくきれいに並んだ歯並びが台無しになってしまうこともあります。

なぜ「後戻り」は起きるのか

矯正治療が終わって装置を外した直後の歯は、骨の中でまだ安定しておらず、グラグラしている状態に近いです。 歯の周りの骨や歯茎の繊維が新しい環境に馴染んで固まるまでには、長い時間がかかります。 そのため、何もしないで放置すると、歯は「元の位置に戻ろう」としたり、「動きやすい楽な位置に移動」しようとします。これが「後戻り」です。

リテーナー(保定装置)の重要性

この後戻りを防ぎ、きれいな歯並びを定着させるために使うのが「リテーナー(保定装置)」です。 マウスピース型矯正装置と同様に取り外しできる透明なタイプや、歯の裏側に細いワイヤーを接着する固定式のタイプなどがあります。

「矯正が終わったから、もう何もつけなくていい!」と開放的な気分になるかと思いますが、**ここからが「歯並びを一生モノにするための期間」**です。 一般的には、歯を動かした期間と同じくらいの期間はリテーナーをしっかり使用していただく必要があります。その後も、夜間だけは就寝時に装着するなど、長く付き合っていただくことで、きれいな状態を長くキープできます。

マウスピース型矯正装置での治療に慣れている患者様は、取り外し装置の管理はお手のものかと思いますが、油断は大敵です。「美しさを守るための習慣」として、保定期間も一緒に頑張りましょう。


柏の葉キャンパス矯正歯科の想い

当院は、矯正歯科治療を専門に行う歯科医院として、特定の装置にこだわることなく、患者様にとって「何が一番幸せか」を第一に考えています。

安全第一の治療計画

当院では、マウスピース型矯正装置をご希望の方にも、必ず精密検査(セファログラムやCT撮影など)を行い、骨格や歯の状態を詳しく調べます。 その結果、もしマウスピース型矯正装置だけではリスクが高いと判断した場合は、正直にその理由をご説明させていただきます。 「治ります」と安請け合いして、結果的に患者様を悲しませるようなことは絶対にしたくないからです。

困ったときの対応力

もし治療中に計画通り歯が動かなくなった場合でも、当院にはワイヤー矯正の技術と経験があります。 一時的にワイヤーを併用したり、補助的な装置を使ったりすることで、軌道修正を行い、目指していたゴールまでしっかりとサポートさせていただきます。 こうしたリカバリーの引き出しを多く持っていることも、専門医院としての責任だと考えています。

常に学び続ける姿勢

院長として書籍の執筆に関わらせていただくこともありますが、それは私自身が常に学び、知識をアップデートし続けるための機会でもあります。 今回のベーシックコース参加のように、常に初心を忘れず、最新の知見を吸収し続けること。 そうした地道な積み重ねこそが、当院を選んでくださった患者様への誠意になると信じて、日々の診療に向き合っております。


マウスピース型矯正装置についてのQ&A

最後に、カウンセリングでよく患者様からいただくご質問をまとめました。

Q1. 話しにくくありませんか?

A. 使い始めの数日間は、サ行やタ行などが少し発音しにくいと感じることがありますが、ほとんどの方は1週間程度で慣れて、普段通りお話しされています。お仕事で会話が多い方でも治療されている方はたくさんいらっしゃいますので、ご安心ください。

Q2. 虫歯の治療途中ですが、始められますか?

A. マウスピース型矯正装置は歯の形にぴったり合わせて作りますので、途中で被せ物などが入って歯の形が変わると、装置が入らなくなってしまいます。基本的には、虫歯や歯周病の治療を終えてから矯正をスタートすることをお勧めしていますが、状態によりますのでまずはご相談ください。

Q3. ズボラな性格なので、続けられるか心配です。

A. そのご不安、とてもよく分かります。ご自身の性格や生活スタイルに合わない装置を選ぶと、治療自体がストレスになってしまいます。 装着時間の確保が難しそうな場合は、無理をせずワイヤー矯正を選ばれた方が、結果的に楽に、早く終わることもあります。カウンセリングで生活スタイルもお伺いしながら、一緒に最適な方法を考えましょう。

Q4. 子供でもマウスピース型矯正装置はできますか?

A. はい、可能です。最近はお子様の成長に合わせて顎を広げたり歯を並べたりする、お子様専用のマウスピース型矯正装置(インビザライン・ファーストなど)もございます。 ただ、ご本人の「頑張って治したい」という気持ちと、ご家族のサポートが不可欠ですので、開始時期などは慎重に相談して決めていきましょう。

Q5. 治療期間はワイヤーより長くなりますか?

A. 症例にもよりますが、しっかりと装着時間を守っていただければ、ワイヤー矯正と変わらない期間で終わることも多くなってきました。逆に、装着時間が足りないと治療期間が延びてしまいますので、二人三脚で頑張っていければと思います。


おわりに

マウスピース型矯正装置は、正しく使えば、快適に理想の歯並びを目指せる素晴らしい選択肢の一つです。

しかし、あくまで「道具」の一つであり、すべての方に万能というわけではありません。 大切なのは、ご自身の歯並びや骨格、そしてライフスタイルに合っているかどうかを、専門的な視点でしっかり見極めることです。

「自分にはどの方法が合っているんだろう?」 と迷われている方は、ぜひ一度、柏の葉キャンパス矯正歯科までお話しにいらしてください。 メリットもデメリットも包み隠さずお伝えし、あなたが安心して笑顔になれる方法を、一緒に考えさせていただければ嬉しいです。

TOPへ戻る